太古の食いしん坊さんたちの食卓 ?

 先月に引き続き、リマの天野博物館所有の遺物から、“太古の食いしん坊たち”の食をご紹介したい。

 天野博物館のお宝は、実は、展示されている遺物に限らず、博物館奥の保管庫にも眠っているのだ。特別に撮影させていただいた。




<天野博物館奥の陳列棚>


まず、こちらの物体は、



世界一古いポップコーンだそうだ。
トウモロコシの原産地は「アンデスだ!」「いやメキシコだ!」という論争は現在でも続いているのだが、トウモロコシはアンデスでも太古から暮らしに欠かせない食物だった事は間違いなさそうだ。



<現代のトウモロコシ>


トウモロコシと言えば、ペルー人の大好物ウミータ



<ウミータを蒸している様子>

ウミータは生のトウモロコシをすりつぶし、トウモロコシの葉で包み、焼く、あるいは蒸す料理。ペルー版チマキといったところだ。そして、砂糖を加えずとも、ほんのり甘みがあり、おやつ感覚でいただく。




<紫のトウモロコシを使ったウミータ>


こちらが、博物館所有の太古のウミータ。



<ウミータの遺物>

じっと観察してみると、スタイルはほとんどリアル・ウミータと変わりはないように思える。

そして、ウミータのすりつぶしに使われていたであろう遺物がこちらの石の道具バタンだ。



<古代の破損が見られるバタン>

バタンは、写真のような台と、台の上を転がす石を使ってつぶす、こねる、混ぜるの三役をこなす。ウミータ作りに限らず、ペルー料理のアクセントとなるスパイシーなトウガラシを使ったサルサ、アヒに欠かせない石の道具なのだが、都心部ではほとんど見られなくなり、その代わりに手軽なフードプロセッサーやミキサーなどが台所に鎮座している。



上記は、ペルー南部のアレキーパのレストランで見かけたバタン。
ゴリゴリつぶす、こねる、混ぜる、そして、作業後の洗浄は、決してお手軽とは言い。しかし、このバタンを使って作られたウミータやアヒは、マシーンでは、味わえない美味しさを醸し出す。


 トウモロコシの収穫期には、畑の傍らで、石のバタンでトウモロコシをすりつぶし、蒸し焼きにする風景が見られるのだが、その横で子ども達が出来上がりを心待ちにしている。屋外で食べるウミータはこの上ないごちそうだろう。

 私達が普段手にする、調理道具と言えば、「一瞬で作れる」とか「持ち運びが簡単」とか「料理が苦手な人もシェフの味」などといったキャッチフレーズがキラキラと掲げられているのだが、バタンのような面倒で、重い道具を使って料理をこしらえるペルー人に出会うと、ここは本当に食いしん坊の国なんだと、改めて心が躍るのだ。

天野博物館ホームページ
http://www.fundacionmuseoamano.org.pe/jp/museoamano.html


ペルー料理探究家 仲宗根ゆうこ
コメント
貴女記事を楽しく拝見致しています。
私ペルー生まれの二世です、現在アミゴス友の会に450名登録して会報を発行していますす。今年で約30年になります・
元海外日系人協会勤務していましたが。定年退職しました、ペルー新報の東京通信員をしています、最近年齢も84才
持病の肺気腫で外出は酸素吸入を車に乗せて歩行しています、今度もし宜しければお互い情報交換したいと思うます、五反田ペルーブラジル食品販売mの『キョダイ」の顧問もしています。今後とも宜しくお願いいます。7
  • by ogata kensuke
  • 2015/02/15 11:55 AM
Ogataさま
私の稚拙なペルー便りをご覧いただいて、ありがとうございました。私はまだペルーを見つめて、4年の新米ですが、料理に特化した目線で、日本人にご紹介できればと思っています。
日本では、イタリアンやタイ料理など認知された料理にならんで“今日はペルー料理食べよっか”と、気軽にチョイスのひとつになることを目指しています。
キョウダイさんとも相談してご連絡させていただきます。ぜひ、情報交換ができれば、うれしいです。ちなみに私の祖父母は沖縄出身の1世です。それが、きっかけでペルーへ興味を持ちました。今後ともよろしくお願い致します。
  • by 仲宗根ゆうこ
  • 2015/02/16 4:30 PM
コメントする